自律神経の働き

陰茎は尿道を囲んで、三個の「海綿体」といぅ血管の集まりからできている。陰茎が硬く勃起するのは、この海綿体の中に血液が充満した状態であり、陰茎がちぢんで普通の状態に戻ったということは、海綿体の中の血液が静脈から流出した状態である。

すなわち、陰茎が勃起するか萎縮するかは、海綿体が血液で充満しているか否かにかかっている。海綿体の血管が拡張したり収縮したりする、血管の運動を司っているのが「自律神経」と
いう神経の働きである。この自律神経という神経は、手足の筋肉を司る運動神経と違って、人間の意志ではどうにもならない神経である。そのため自律神経のことを、別名「植物神経」とも呼び、運動神経の方は「動物神経」と呼んでいる。自律神経は自分の意志ではどうにもならないから、勃起させようとしても勃起せず、勃起しては困るときに勃起してしまうことも起こるのである。

たとえば、夏にバスの中などで前に座った若いミニスカートの女性が、下着をのぞかせていたりすると、若い男性ではひとりでに勃起してしまうことになる。また、せっかく彼女を連れてホテルに入っても、隣室の人声が気になって勃起させたくても勃起しないこともある。このような自分の意志ではどうにもならない自律神経の中枢がまた、「セックスする脳」と同じところにある。

自律神経は、このように血管を披張したり収縮したりする働きのほかに、心臓や肺、胃腸など内臓のすべてに分布してその働きを調節している。そのほかにも、体温を調節したりホルモンの分泌を調節したりする働きがある。そこで自律神経のことは、別名「内臓神経」とも呼んでいる。

この自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」という二つの神経線維があり、それぞれ反対の働きをして、自動的に人間の内臓の機能を調節している。いわば人間の”自動調節器”の役 目をしているものである。

一般的にいって、交感神経は人間に危険がせまった時、あるいは体に不利な環境の時に緊張して、体を危険から守る働きがある。そして、その交感神経を介して信号を伝える物質がホルモンなのである。

たとえば、スピード違反でお巡りさんに捕まったときなどは、交感神経が緊張し、副腎皮質からはアドレナリンなどのホルモンが分泌され、全身の血管が収縮する。

人間の皮膚は厚さがわずかニミリメールしかないから、皮下の血管が収縮すると、顔色が青ざめることになる。血管が収縮するから、血圧は上り心臓は動悸をうつことになる。陰茎の海綿 体血管も収縮するから、海綿体内の血液は流出してしまい、その結果、陰茎も萎縮する。

これに反して、好きな女性とデートをし、おいしい食事をし、恋愛映画でも見て立派なホテルへでも泊まれば、気分は最高にリラックスする。そうすると、副交感神経の方が興奮するから、全身の血管は抗張し、皮下の血管の拡張により、顔色はよくなり、体温は上り、陰茎の海綿体血管は血液で充満し、陰茎も硬く勃起することになる。

女性も同様に顔は上気し、心臓の鼓動は高まり、膣も潤滑液で濡れてくる。かくして性器の方は男女共にセックスの準備状態に入っている。

ところが、おいしい食事をし、映画を見てムードが高まっても、壁一重で隣室の物音が聞こえるような安ホテルに泊まると、こちらの音も隣に聞こえるのではないかとの心配で、お互いに交感神経が緊張するから、男性は勃起が十分に起こらず、女性も膣の潤滑液が不十分で、その結果セックスもスムースにいかないことになる。

ところで、人間の陰茎は一日の内に何回となく、自動的にその形と硬さを変化させている。人間の臓器で、陰茎ほど一日の内にその大きさや形、硬さを変えるものはない。陰茎は夜眠っているときでも、四時間おきくらいに勃起をくりかえしていることがわかった。これを「夜間陰茎勃起現象(NPT)といって、いまでは勃起不全の原因診断に利用されている。

このように陰茎の勃起現象は、すべて自律神経の作用であり、その自律神経の中枢は脳の中にあり、したがって陰茎の勃起もまた、脳によって起こることになる。

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